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次から二人の掛け合いが始まるので、サイドストーリーにはしてません。
(完全ジャンさん視点ですが・・)
ジャンさんが、モダモダしてますww
では【続きを読む】からどうぞ^^
「何…してんだ…俺」
壁にもたれかけ、カーテンを掴みながらズリズリとしゃがみ込んだ。
何故あんな嘘を吐いてしまったのか…
何でここにいるんだろう……
この…イライラは…?
「馬鹿…ヤロ…」
誰に向けた言葉なのか、くぐもった小さな罵声は、自分しか居ない殺風景な部屋に虚しく吸い込まれていった。
目をつむり、数時間前の俺――ジャンカルロ・ブルボン・デル・モンテの行動を思い返した。
「カポ、おかえりなさい!遅いから心配したんすよ」
「…あ~うん…ごめん」
「カポ?」
車に戻るなり顔を伏せ、歯切れの悪い俺の様子に、部下がハテナから焦りの表情へと変えた。
まぁ当然思う事は一つだ。
「っまさか!奴らがっ…」
ガチャ!
銃を抜き、一気に殺気立つこいつらに、俺は慌てて首を振った。
「ちっ違う!違うって!GDの奴らじゃなくて……っ至急の仕事がまだ残ってたのを思い出してさ!
わりぃんだけど、今から俺の言う場所まで乗せて行ってくんねぇかな」
申し訳ない顔で笑うと、殺気立った彼らの空気も一気に柔らかい安堵へと変わる。
カチャカチャと各々取り出した銃をしまい、俺の顔を見つめた。
「それはもちろん構いません。カポの命令…ですから。
カポ…大丈夫ですか?」
心配そうに下がる眉。
ほんと…こいつら変わったよなぁ。
最初に会った頃は、俺にはまったく無関心で、ただのチンピラのガキだと思われてたっぽいもんな。
まぁ間違っちゃいねぇんだけどさ…
今は俺の為に命張ってくれてる…すげぇよな。
ホント…すげぇ。
「はは…まぁさっきちょっと寝たし大丈夫でしょ。
たぶん…きっと…ノープロブレム!」
俺の語尾に、どんどんと男の顔の不安が濃くなる。
ありゃ…逆効果だったかしらん。
でも…今は…これが限界。
「それよりも…ほいっ荷物。
あっちに着いたら適当に冷蔵庫に突っ込んじゃって―――
―――あ…ってそうか、おめーらはあの部屋入れねんだっけか。
じゃあアンタ達で食べてくれ」
「え…いいんですか?」
「オフコース!せっかく買った美味しい食材腐らせたらもったいないだろ?
俺もあいつもしばらく戻れるかわかんねーし。
調理が必要なのもあるけど、俺が選んだ折り紙付きだぜ?
ねぎらいだと思って食ってくれよ!な!」
と無理やり両手に持った紙袋を渡す。
おたおたしながら受け取った男は、中身を覗き込んで嬉しそうに目を細めた。
よしよし。
一人満足した俺は、笑顔のまま車に乗り込む。
扉が閉まった瞬間、それまで口に張り付いてた笑顔が消えた。
「…」
目を閉じて、シートに深く体を沈み込ませると、さっき見た映像を無理やり忘れようとした。
でも、この記憶力の良すぎる頭はそれを許してはくれなくて…
皮肉にも、そうすればする程よけいに意識させられた。
「…クソ」
何だよコレ…何で俺がこんなに気にしないといけないんだよ。
だいたいあいつが…女といたって…俺には関係ねぇし。
いい大人でマフィアなんだから、周りに女が居るのは当たり前だ。
それに、あいつは売春の総元締めだし。
別にいつものこと…いつもの光景じゃねぇか。
それに…それなのに…。
記憶のリフレインと共にループする思考。
自分を納得させる為に並べられた言葉。
だが、それに反して心の奥んトコがモヤモヤした。
「…娼婦じゃ…ねぇ…よな」
いつもイヴァンの周りで媚びを売る女達とは、明らかに雰囲気が違っていた。
上品な装いに、艶々の髪。
一瞬見えた微笑みが頭をよぎる。
嬉しそうだった…
あん時のお前、どんな顔してたんだよ?
わかってる…
きっと優しい顔して笑ってんだ。
いつもみてぇに…
俺には見せない顔で…
「?!…くそぅ」
思わず浮かぶ台詞に俺自身驚く。
俺にはって…何だそりゃ!
まるで付き合い始めたハイスクールのオンナノコだ。
ちげぇ…そうじゃねぇ。
あいつホントにモテんだな~ママはびっくりよ。
これでちょっとはルキーノ達に言い訳…自慢出来んじゃね?
脱☆素人童貞おめでとうイヴァンちゃん!
ダロ?
…そうだよ。
俺はこーゆー奴じゃねぇか。
この方が俺らしいだろ?
だから、さっきのは無し。
さっきのは俺じゃねぇから、オーケイ?
ははは……
「ばーか…」
この呟きは、言い訳ばっか並べるダセェ自分に対して。
だって、今までこんな思い誰に対しても感じたことなんてなかったから。
そうして俺は、イヴァンを避けるようにして自分の隠れ家に向かい、イヴァンの部屋へは戻らなかった。
―――その日を境に俺とイヴァンのすれ違いが始まった
⇒続く
ジャンさんの無自覚のシット・・嫉妬
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