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ジャンさんの嫉妬おいしいです^^
あと

『イヴァンを(無理矢理)かっこよく』

を目標として書きました。 
果たしてイヴァンのポジションは・・・・

脱☆出オチ担当なるか!!

【続きを読む】からどうぞ^^


【Side:GIAN】


俺は自分がこんなに女々しいとは思わなかった


どこで間違った?


いや…変えられたんだ


あいつに―――

 


GDとの大きな抗争から数ヶ月が過ぎ、ようやくうちも落ち着いてきた頃、ボスから正式に二代目カポとして就任することを言い渡された。
盛大な就任式が済んで、早三月。
毎日が挨拶回りと書類の整理で追われた。
今も隣では、にこやかに、でも目は笑っていない幹部筆頭が教育、もとい監視している。

何でかって?

それは俺が何度となくサボろうとするからサ。

ほぼ作業と化している契約書や請求書へのサインは俺に安らかな眠りを誘った。
あぁ…負けそう。
えっと…甲が…乙でこ…………


「ジャン。…ジャーン」

「っは!な、なんだベルナルド」

やべ!今一瞬寝てた…
俺は慌てて垂れかけた涎を拭いた。
バ…バレちったかな…やっぱ。
そろっとベルナルドの顔を伺うと、ふぅと深いため息をついて苦笑いを浮かべていた。

「我等がカポはお疲れかな?」

「ご、ごめん…ちゃんとやるから…わりぃ」

サボろうとするくせしてよく言えたもんじゃねぇけど、ベルナルドも皆も相当無理して頑張ってきたことを見て知ってるから、俺があんま役に立ってないことに申し訳ない気持ちになる。
そんな情けない自分に肩を落としていると、いや…とベルナルドが続けた。

「ジャン、お前はよくやってくれてるよ。最近ずっと寝れてないだろ?
慣れないことばかりで気もすり減るだろうにさ…」

「そんなの、俺がまだひよっこでお前らに負担かけまくってるだけで…
ボスらしいこと…何もできねぇし…」

わかってる。

ベルナルドの方が何倍も寝ずに仕事してること。

わかってるんだ…

だから、と続けようとする俺をいーから、と遮った。

「ジャン、忘れるなよ?俺達カポ・レジームはお前の為に、組の為に居るんだ。
お前に倒れられちゃ、アレッサンドロ顧問達に顔向けできないよ。
わかったら、今日はその書類でおしまいにして帰って寝ろ」

監視員の顔から、いつもの俺をたっぷり甘やかすダーリンの顔になる。
バーカ…ほんとお前は俺に甘いんだよ。

あいつの前髪が無くなったら俺が責任取ろう。
うん。

俺は若干目に力を込めてベルナルドを見つめた。
伝わるかな。

「あんたも…忘れんなよ?あんた達が居てくれるから俺がここに居れるんだぜ」

「…あぁ。肝に命じとくよ」

俺の目に少し気圧されたように苦笑をもらす。
だってほんとにそう思ってんだぜ?
感謝してんだ。


仕事がこれで終わりとわかった瞬間、あいつの顔がふと浮かんだ。
馬鹿が付くほど真っ直ぐで、あの騒がしいバカヤローの顔が。

カポに就任してからボスとしての仕事を覚えるのに必死で、実はろくに会えてなかったりする。
あいつもあいつで、新しい商売が軌道に乗ったばかりであちこちを飛び回っていた。
会えたとしても幹部会とか、あいつが請求書やら報告書やらを届けに来たくらい。
交わす言葉は二言、三言で…


会いてぇ――


アイツのイヴァンのことを考えていたら、だんだん顔が見たくなってきてしまった。
イヴァンとは…その…こ、こい…親友だし、最近の忙しさでホテル泊まりが続き、あいつの部屋にも行っていなかった。
今の時間はお昼を過ぎたくらい。
イヴァンはまだ仕事中だろう。

果たして捕まるかな…

とりあえず電話してみよう!よし決めた!

俺は瞬時にこれからのオフの予定を頭で組み立て、椅子から立ち上がった。
決まったら即行動あるのみ。
ジャケットをひっつかみ、まだ書類と電話と睨めっこしている幹部筆頭様に心を込めたウインクを飛ばす。

「じゃあわりぃけどお言葉に甘えるわ…サンキュ。ダーリンも無理しないでね」

「お疲れハニー。ゆっくりお休みお姫様」

電話を片手にウインクを返すベルナルドに手を降って部屋を後にした。

 


廊下に出ると、部屋の側で待機していた部下達が俺の姿を見つけ、そそくさと近寄って来た。

「どちらかにお出かけですか?」

「ん~まぁそうなんだけど。それよかイヴァンに連絡してくんない?
俺その間、ちょっと下でコーヒー飲んで来るわ」

「わかりました。行ってらっしゃいませ」

丁寧にお辞儀を返す部下に軽く手を降って、エレベーターに乗り込んだ。

いやはやよく教育されたもんだこと…さすがベルナルドの部下。
みんなスーツをビシッと決めて忠実に動いてくれる。
俺にはまだ部下はいないから、近くにいる者が従うようになっている。
それは他の三人の時も同じ。
でも俺にはまだ部下の扱い方がわからない。
今まで全部一人でやってきたから、こそばゆいというか…
俺もいつかは部下を従えるようになるんかね…

そんな将来のボスの自分を思い浮かべ、無理、と想像を放棄した。

ようやく訪れた一人の時間に、ボ~っとコーヒーをすすりながら新聞を広げる。
一通り記事に目を通すが、ハリウッド女優がどこぞの一般男性とホテルから目撃!とか
どこかのビルに車が突っ込んだとか、たいした記事は見当たらなかった。
(いや、世間様的には大事件かもしれないけどさ)
平和だねぇ・・・・

そこに先ほど用事を頼んだ男が現れた。
明らかに堅気と違うことがわかる。

「フィオーレ幹部は今掃除中で、しばらくは連絡が取れないとのことです」

「ありゃりゃ…掃除中ね…わかった。サンキュ。
じゃあ俺このまま帰るわ」

「あ、はい。お送りします。車を出して来ます」

「ん。よろしく~」

バタバタと急ぎ足で駆けて行く部下を見送りながら、報告内容を繰り返した。
掃除中…つまりGDの残党狩りってことだ。
あの抗争の一件でデイバンでのやつらの動きは減ったが、数が数だけに、まだちょこちょこちょっかいをかけてくる輩が後を絶たないってのも事実だった。
そんな時はそこの仕切りの奴か、報告を受けた奴が処理をすると決めた。
イヴァンのシマは結構荒くれ者の多い、治安のあまりよろしくない場所がほとんどを占めるため、カタギと奴らが揉めているという報告も少なくない。

そうか…暴れてるんなら…連絡は諦めた方がよさそうね。

俺は無意識に漏れた溜め息と共に、用意された黒いフォードに乗り込んだ。
行き先を告げると、黒い体はゆっくりと加速していった。

 

アイツの車がすぐ側を反対方向へ走り去ったことなんて気付かずに――




⇒続く

ジャンさん編。ちなみにまだ本部は建設中で、デイバンホテルが仮本部のままという設定です。
 








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